• 顔を洗おうとして身体を曲げた
  • 靴下を履こうとしてうつむいた
  • 中腰で荷物を持ち上げた

その瞬間、背中が”ピキッ!!”となって発症する腰痛・・・

その名も“ぎっくり腰”

友人から先日、「ぎっくり腰になったんやけど温めたらいいの?」「動いたほうが良いの?」と相談がありました。

その相談、正解でもあり不正解でもあります。実は、発症した瞬間から”どれくらい経過したのか”によって対処方法は変わっていくのです。

本コラムでは”ぎっくり腰”に対する理解を深め、発症時期に合わせた正確な対処方法をお伝えしたいと思います。

そもそもぎっくり腰ってなに?

ぎっくり腰の概要

重い物を持った拍子に突然腰が痛くなり動けなくなってしまう。そんな恐ろしいぎっくり腰、正式には「急性腰痛症」と言います。

読んで字の如く急激に発症した腰痛を指し、骨の歪み、背筋の脆弱化、腹筋と背筋のバランス不良、オーバーユースなどの様々な要因で、腰へのストレスが増加し、重いものを持ち上げたり、咳やくしゃみをした反動で腰を支えている椎間板や関節、筋肉や靱帯などに 部分的な損傷が起こり、強い痛みが生じると考えられています。

欧米では「魔女の一撃」と呼ばれており、突然想像もしない激痛がやってくることを「魔女がやってきた」と比喩するようになったことが由来だと言われています。重症のぎっくり腰になるとその場で立てなくなったり、寝返りができなくなることもあります。

多くは一週間~二週間程度で自然に回復していきますが、2~3日の安静で腰痛が軽減しない場合や 身体を動かさないのに腰痛がある場合、急性腰痛を繰り返している場合、安静にしていても余計にひどくなっていく場合などは、 他の疾患も考える必要があります。

下半身に痛みやしびれ、感覚障害がみられる、力が入らない、排尿障害があるなど、どれか一つでも伴っている場合は、椎間板ヘルニア、脊椎すべり症、腫瘍なども考えられます。 高齢の方で、骨粗鬆症の強い方などは圧迫骨折なども疑う必要がありますので早急にかかりつけ医や整形外科などへの受診をお勧めします。

ぎっくり腰になった時の対処法

個人差はありますが、ほとんどが自然軽快しますので、自然治癒を妨げない配慮が必要です。

痛くて日常生活がままならない期間はだいたい2~3日で終わります。その後は痛いけれどもなんとか生活できる日々が続き、完治するのは発症10日目以降です。

発症から3日目までの対処法

安静にして楽な姿勢をとる

まず、ぎっくり腰になってしまった時はむやみに動かず、最も楽な姿勢でゆっくりと深呼吸を繰り返しましょう。個人差はありますが、過度に緊張した筋肉が緩み、楽になることがあります。

そして、無理をせずに安静にすることです。ぎっくり腰の発症直後、痛みが強い場合には、腰に負担がかからない楽な姿勢をとるようにします。

  • 横に寝て、膝を軽く曲げて横向きに寝る
  • 横に寝て、膝・股関節を曲げてエビのような状態で休む
  • あおむけに寝て、ひざを軽く曲げて、膝の下にクッションを入れる
  • あおむけに寝て、低めの台に両脚を乗せる

などの姿勢が勧められています。

痛い部位を冷やすのも効果的

ぎっくり腰は、腰を支えている椎間板や関節、筋肉や靱帯などの部分的な損傷により炎症が発生し、痛みが出現しています。

発症後から72時間は炎症物質が出続けるといわれており、この炎症物質は冷やすことである程度抑えられるので、ぎっくり腰の初期段階は患部を冷やすことは適した対処法です。

発症してから72時間を目安に、強烈な痛みが和らいできたら冷やすことをやめても良いでしょう。

但し、冷やしすぎると皮膚を刺激して増悪することもあるので 氷嚢などをタオルでくるんで1回につき10分ほど冷やすのが良いでしょう。

具体的な消炎鎮痛の対処法として、

1.発症直後は安静にして氷やアイスノンで冷やす(ない場合は湿布などで可)

※1時間に10分から15分ほど冷やすことを推奨、就寝時は湿布で可

※お風呂は痛すぎて動けない場合は無理をして入らない。入っても長湯はしない。

2.発症した時間から24時間が経過したら、氷やアイスノンで冷やすのは中止し、湿布を貼り安静にする。

※痛み止めがあるのであれば服用するのも有効

3.痛みが軽減してきても、湿布は3日間は貼ることをオススメします。

強烈な痛みが治まったら少し動く

安静は必要ですが、4日以上の長すぎる安静は回復を遅らせるとも言われています。

あるぎっくり腰に対する研究では、
「できる限り通常の日常生活を過ごす」よう心掛けたグループが最も回復が早く、「ベッドでの安静」を行ったグループが最も回復が遅かったという研究結果が発表されました。

したがって、動けないほどの激痛である場合を除き、発症から2~3日後に痛みが和らいだ時期から、多少の痛みを我慢して、動かせる部位は徐々に動かすようにしましょう。

ただし、これらの方法が有効なのは骨や神経などに異常がない場合のみですので、もし下半身のしびれや足が動かないなどの症状が出現した場合は、神経の障害が強く疑われます。できるだけ早く病院にかかりましょう。

4日目〜7日目の対処法

炎症期である3日目までに正確な対処法を行えば4日目以降グッと痛みが軽減することがほとんどです。

この時期から血流を促進させ、組織の修復や痛みのさらなる軽減を図りましょう。

お風呂などで温めよう

「湯治」という言葉があるように、お風呂に入ることは様々な身体の不調を改善してくれます。

血液循環の改善や、浮力による腰の負担軽減、リラックス効果で自律神経が整うなど、様々な効果が入浴にはあります。

マッサージや整体を受ける

痛みに応じて軽めのマッサージや整体を受けることは血流を促進させたり、身体の歪みなどのストレスを軽減するために有効です。

軽めのストレッチ

痛みに応じて軽めのストレッチは血流を促進させ、凝り固まった筋肉をほぐす効果があります。痛みがない範囲で太腿やお尻などのストレッチを行うことは効果的です。

8日目以降の対処法

8日目以降はほとんどのパターンで炎症が落ち着き、寛解している時期になります。

その際に行う対処法の目的として、腰への負担を軽減させることになります。

歪みや筋肉のアンバランス、日常生活の癖など、ぎっくり腰の根本原因は様々です。

専門家に相談し、ぎっくり腰の再発予防や症状の完全治癒を目指しましょう

ぎっくり腰の対処法で大切なのは”時期に合わせた対処”をすること

いかがでしたでしょうか?

ぎっくり腰に対する対処方法は時期によって全く異なることだということを理解していただけたでしょうか。

正しい対処方法を行わず、逆の対処方法を行ってしまうと悪化してしまう可能性がありますのでご注意ください。

あき星では、腰痛を理学療法士や姿勢診断士などの観点から腰痛の原因を多角的に捉え、目の前の症状だけではなく、根本的に改善していく方法を導き出し、あなたのお身体に合わせたサービスを展開させて頂いております。

腰痛で悩まれている方は、ぜひご相談ください。